昨今巷では卒後研修の変革が叫ばれ、現状の厚生労働省の初期研修案が実施された場合には、脳神経外科における卒後2年間の独自研修不可能となります。 一方で、脳神経外科の専門医に求められる技量は年々専門化し、同時に脳神経外科の施設・個人に対する社会的評価についても多様な動きが見られます。各施設が十二分の数と質(疾患)の症例を持てるのであれば、日々の臨床経験さえ重ねて行けば、自然に脳神経外科専門医の実力と評価は十分得られるものと思います。しかし現実には各施設で経験できる脳神経外科手術数には限りがあり、また血管内治療や脊椎脊髄手術については、指導医の認定と施設センター化が実施されてきております。また脳卒中専門医の制度が始まったことは、皆様御存じの通りであります。このような変革の時代にあって、実力のある脳神経外科医を如何に育てるか、同門各施設の診療体制の充実を如何に計るか、若者に将来の夢と幸せを得ることのできる環境を如何に提供できるか、まさに真剣な検討が必要であることを痛感いたします。
現在我々は、限られた人員と環境の中ではありますが、血管内・脊椎脊髄・頭蓋底などの臨床活動、あるいは種々の研究活動など、各自の努力と皆の協力で一定以上の成果はあげてきていると考えます。しかし将来のさらなる発展をと考える時、現状での教室・同門の力量はまだまだ未熟で不安定な状態ではないでしょうか。現状の不安を打破し、皆が納得し目標を持って進むことができるよう、以下のような卒後研修システムを提言致します。
患者さんやスタッフに信頼される技量と暖かい人間性、教室独自の実績を世界に発信できる創造性と実力、そして個人・家族の幸せと充実感を感じる生活、など目標は多様です。皆で協力し、目標達成を目指しましょう。
(研修計画遂行にあたり、同門研修施設長に当てたメッセージである)
2年間の初期研修を修了し、3年目からの脳神経外科専門研修を目指す医師
このプログラムは、卒後7年目に日本脳神経外科学会専門医を取得できる臨床能力を「修得」することを目標とする。「修得」とはひとりで自信を持って診療を行うことができるレベルをさしている。
研修病院は後述する訓練施設であり、研修は関連領域の専門・認定医資格をもった指導医によって実施される。従って、本研修プログラムを修了することによって、日本脳神経外科学会専門医に加えて、各学会の指定する条件を満たすことで、以下のような専門・認定医資格を取得することができる。
また、本プログラムは、学位(医学博士)の取得や海外留学を推奨し、支援する。
| 研修病院 | 指導医 | 主たる専門領域 |
|---|---|---|
| 富山大学附属病院 | 遠藤俊郎 | 脳卒中・脳腫瘍の外科治療 |
| 桑山直也 | 血管内治療 | |
| 栗本昌紀 | 脳腫瘍・脊髄外科 | |
| 林 央周 | 頭蓋底外科・下垂体疾患 | |
| 浜田秀雄 | 小児脳神経外科・神経内視鏡 | |
| 永井正一 | 脳腫瘍 | |
| 山本博道 | 血管内治療 | |
| 旭 雄士 | 脳神経救急・機能的脳神経外科 | |
富山県内関連施設 | ||
| 研修病院 | 指導医 | 主たる専門領域 |
| 済生会富山病院(脳卒中センター) | 堀江幸男 | 脳卒中の外科治療 |
| 富山赤十字病院 | 山谷和正 | 一般脳神経外科 |
| 済生会高岡病院 | 原田 淳 | |
| 脳神経外科塚本病院 | 田中 信 | |
| 氷見市民病院 | 朴木秀治 | |
| 社会保険高岡病院 | 水巻 康 | |
| あさひ総合病院 | 大森友明 | |
| かみいち総合病院 | 野上予人 | |
| 八尾総合病院 | 増田良一 | |
| 厚生連滑川病院 | 武田茂憲 | |
| 黒部市民病院 | ||
| 市立砺波総合病院 | ||
| 厚生連高岡病院 | ||
関東地区・大都市圏関連施設 | |
|---|---|
| 研修病院 | 指導医 |
| おか脳神経外科 | 岡 伸夫 |
| 川崎幸病院 | 岩井良成 |
| フジ虎ノ門整形外科病院 | 大井政芳 |
| 東名厚木病院 | 鬼塚圭一郎 |
| 石心会狭山病院 | 扇一恒章 |
地方中核都市関連施設 | |
| 研修病院 | 指導医 |
| 青森県立中央病院 | 西嶌美知春 |
| 齋藤記念病院 | 福田 修 |
| 朝 | 午前 | 午後 | 夕 | ||
|---|---|---|---|---|---|
| 月曜日 | 手術 | 病棟カンファレンス (教授回診対策会議) | |||
| 病棟業務 | |||||
| 火曜日 | 症例検討会 | 教授回診 | 脳血管撮影 | 病棟業務 | 医局会 |
| 水曜日 | 血管内手術 | ||||
| 手術 | 病棟業務 | ||||
| 木曜日 | 野球練習 | 外来 | |||
| 勉強会 | 病棟業務 | ||||
| 金曜日 | 手術 | ウイークエンドカンファランス (フィルム検討会) | |||
| 病棟業務 | 准教授回診 | ||||
| 土曜日、日曜日 | |||||
おもに病棟医として指導医とともに脳神経外科患者の診察、病歴聴取、術前術後管理を行う。検査としては腰椎穿刺、脳血管撮影を一人で行うことができるように訓練する。以下のような手術の適応を判断することができ、指導医とともに実施することができる。
後期研修初年度の研修には6ヶ月間の大学病院での研修が含まれる。この間に基本的な神経学的診察・検査の実際を確実に修得する。また頭部外傷を中心とした救急患者への対応を行う。指導医に状況を的確に報告することができるように訓練を行う。
脳神経外科外来患者を的確に診察することができる。以下のような手術の適応を判断することができ、指導医とともに実施することができる。とくに基本的開閉頭、顕微鏡下手術操作には習熟する。
都市部第一線病院、地方都市中核病院での一般脳神経外科研修を6ヶ月から1年のローテーションで行う。頭部外傷・脳卒中などの救急患者に対する対応が十分に行えるようにする。この間に富山県脳卒中センター(済生会富山病院)での6ヶ月以上の研修を必修として、とくに脳卒中患者の急性期管理をひとりでも行えるように修得する。看護師、検査技師など comedical staff との communication の確立も重要である。
チーフレジデントとして、病棟のマネージメントを行うことができる。チーフレジデント期間にはすべての手術に術者または助手として参加し、手術記録の記載を行う。小児脳神経外科の特徴を理解して助手を行うことができる。定位脳手術の適応を理解して助手を行うことができる。悪性脳腫瘍の化学療法の適応を理解して、自分で計画して実施できる。脳腫瘍の病理所見を理解して、病理診断を行うことができる。初年度の後期研修医を指導することができる。以下のような手術の適応を判断することができ、指導医とともに実施することができる。
後期研修3年目までで一般脳神経外科研修は修了し、4年目は特殊な疾患・専門領域(小児脳神経外科、機能的脳神経外科、脳腫瘍に対する集学的治療、頭蓋底外科、脊椎外科、血管内治療など)に関わる研修を中心として大学病院で行う。3-6ヶ月間はチーフレジデントとして、病棟入院患者すべての状態を把握し、状態を責任者(遠藤)に報告する。指導医および看護師長と相談して入退院管理、手術スケジュールの調整を行う。
脳神経外科専門医試験に合格して専門医の資格を得る。
専門医試験が行われる8月上旬までは、ベッドフリーとし、外来診療を中心とした研修を行いながら、試験準備を行う。試験終了後、後期研修後半は後期研修終了後の自らの進路を見極めるべく、適性に応じて専門分野研修の準備にはいる。中核病院・期間病院での一般脳神経外科を目指す場合には、その就職を斡旋する。学位取得をめざして、大学院進学や基礎研究を目指す場合にはその準備期間とする。
専門医修得後の進路については、個々の希望に配慮しながら、個別に対応する。富山大学脳神経外科学教室では、専門化・多様化する脳神経外科各種領域(サブスペシャリティー)の技術の習得の希望に対しても、十分な対応ができるように専門スタッフを揃えており、個々の技術水準を高い位置でキープできるように以下のような学内研修会を行っている。
また、本プログラムは、学位(医学博士)の取得や海外留学を推奨し、支援する。すなわち、脳神経外科専門研修を受けながら、同時に学位取得のための大学院進学・履修が可能である。臨床的あるいは基礎的テーマを選択するかによって、個別のコースを設定することができる。その際、専門研修プログラムの変更・延長も可能である。
海外留学は主として専門医取得後のサブスペシャリティー養成の課程として推奨している。これまでの海外留学実績は以下の通りである。